2008年12月01日

世界最大の水力発電所

飛行機を乗り継ぐこと30時間以上。ブラジルとパラグアイの国境にある世界最大の水力発電ダム「イタイプー」に行ってきました。(申込みをすれば見学可能です。)
近くには世界三大瀑布の1つ,「イグアスの滝」があるのですが,我々電気屋の主たる興味はもちろんダムおよび変電所です。


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場所はこのあたりです。西側がパラグアイ,東側がブラジルです。人工湖から2つの水路で下流につながっていますが左側が放水ゲート,右側が発電設備です。

日本でよく見る水力発電ダムは,普段目にする部分は「水をせき止めて湖を作る部分+放水ゲート」であって,発電設備は導水トンネルを通した下流の地下にある場合がおおいです。これは地形を利用して落差をかせぐことで発電するタイプだからといえます。一方,イタイプーは比較的平坦な地形ですので落差はあまりなく,水量で稼ぐタイプといえましょう。(落差×水量が発電出力に相当しますから。)

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こちらが放水ゲートの側。雨が降ったりする場合以外はこちらに水は流れません。すべて発電にまわります。日本のように○○県と△△県の水道用,発電用,治水目的などという複合目的ではなく単純に電力を得ることのみが目的です。

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こちらが発電設備の側。白いパイプ1本1本が水車発電機につながっています。発電機は20台。1台の出力は約70万キロワット。20台で1400万キロワットです。ちなみにみなさんおなじみの佐久間ダムの佐久間発電所は35万キロワットですから,イタイプーの発電機1台の出力で佐久間の2倍あるわけです。またこれもみなさんおなじみの浜岡原子力発電所は5基の原子炉で約500万キロワットの出力です。(だいたい1キロワットは1世帯分の電力です。)
ちなみに中国の三峡ダムが完成すると,出力はイタイプーをやや上回る1820万キロワットになるようです。

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水圧鉄管。一部業界の方々には萌える風景です。

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送電鉄塔ファンにもうれしい風景。こちらでは土地がたくさんあるので,送電線も高速道路並みに幅広く敷地を確保しています。上の地図でもダムから帯状に森を切り開いてできた様子がわかりますがこれは送電線です。この写真では50万ボルトの交流が4回線(1つの鉄塔で1回線,3本だけ架けてある)並行して走っています。

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さて,発電した電力の売り先ですが,イタイプーダムはブラジルとパラグアイの共同国営企業体のような形になっています。(施設内に国境がありますが,敷地内にいる限りはパスポートコントロールはありません。)10台の発電機がパラグアイに50Hzで送り,10台の発電機がブラジルに60Hzで送っています。

ブラジル側への電力は75万ボルト交流に昇圧されてサンパウロ方面に送られます。ところがパラグアイは電力の需要が少ないため10%程度しか使用せず,40%はパラグアイからブラジルに送電されています。建前上,一応パラグアイ国内に入りますが数キロでそのまま国境をわたります。ブラジル国内に入ったところで50Hzの50万ボルトの交流から+-60万ボルトの直流に変換されて直流の状態でサンパウロ方面の電力消費地に送電し,そこで60Hzの交流に変換するという形をといっています。周波数が違うためいったん直流に変えなければいけないということと,距離にして7~800kmくらいあるので直流送電のほうが有利というのがあってこのような形になっているのだと思います。

投稿者 tisobe : 00:54 | コメント (0)

2008年10月18日

多摩川河口にある不思議な看板

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我が家より多摩川を下ること約1時間で羽田空港に着きます。ターミナルビルの手前の旧ターミナルのあったあたり(現在の天空橋駅付近)には,鳥居があります。昔は事情により空港の駐車場の真ん中にあったようです。参考サイトへのリンク

そして現在鳥居がある付近にはこんな看板が。
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この下には東海道線の貨物専用線が走っているようです。首都高の湾岸線から見える新幹線の車庫の隣にある貨物ターミナルにつながっているようです。大都会のバックヤードには我々の生活を支えるインフラがいろいろあるんですね。

投稿者 tisobe : 03:43 | コメント (0)