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2009年07月26日

本世紀最長的日全食観測

2009年7月22日在中国大陆长江流域发生的一次壮观的日全食,也是本世纪可看到月亮遮掩太阳时间最长的日全食。又称“长江大全食”。

というわけで,4日間お休みをいただいて(火~金)中国へ行ってきました。

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今回観測点に選んだのは北緯30度45分4秒,東経120度28分44秒付近,水郷地帯にある烏鎮という街です。上海と杭州の間,やや杭州よりです。ここは古い町並みを保存してある景観区になっていて,古い民家を改造した民宿や,ホテルなどがたくさんあります。隣に座った中国人と(以下略)のような殺伐とした中国は体験できませんが,西洋人でも快適に過ごせます。(民宿には近代的ユニットバスがインストールされています。彼らにとってトイレの問題は最重要課題です。)

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NASA 2009 Eclipse Bulletinより抜粋

上海はShanghai,杭州はHangzhouです。我々の観測点は嘉興Jiaxingという街のやや西にあります。この場所を選んだ1つの理由は,皆既日食帯の中心に近いこと。といっても皆既継続時間は中心線付近ではわりとフラットな分布なんですが。杭州・上海などとはほんの数十秒しか変わりません。

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このようなのどかな風景が広がる街ですが,WiFi接続が可能です。同行したpistonさんの所有するさまざまな電子機器が活躍しました。Google mapで場所を確認できます。

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GPSで測定した座標データを国立天文台のサイトに入力すると,その地点での情報を秒単位で計算してくれます。ちなみに,実際の皆既日食は電波時計で確認した限りではこの計算結果から数秒の狂いもなく起こりました。かつては畏れの対象でった日食ですが,今はまさに科学の勝利を確認できるイベントです。

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日本出発から4日間,猛烈な日差しで暑かったのに前日夜から雷と雨。中国人の日ごろの行いがよほど悪かったのでしょうか。長江流域には前線があってどこも雨という予報で,我々もショボーンな状況でした。景色的には雨が良く似合う場所なんですが。

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以後日食写真の多くはpistonさん提供。我々の観測点から見た風景。皆既日食前(部分日食中)。この運河は写真後ろの街の外ですぐに京杭大運河に接続しています。(隋の煬帝が建設して滅亡を早めた,と世界史の時間に勉強したアレです。)

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部分日食開始時刻を過ぎて,それでも祈るように空を見上げていたところ,皆既日食開始20分前くらいに雲の隙間から太陽が顔をのぞかせはじめます。隣に陣取っていたドイツ人(?)のグループから歓声が上がります。

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橋の上で観察する。我々日本人の持っている日食グラスが最もよくできていました。100元もする日食グラスですから。(残念ながら日食グラスはあまり使う必要がありませんでしたが。)

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ところがこの後,皆既日食開始10分くらい前になって真っ暗になると危ないのでということで橋から追い出されました。そういうことならもっと早く言ってほしかった。なおドイツ人のおばさんが1人「私はただ祈りたいだけで,安全には何の問題もない。このためにやってきたのに突然何を言い出すのか。自分の安全には自分で責任を持つ(一部意訳)」と言って抵抗しました。欧米の考え方の違いが良くわかります。ありえないことですがもしこれで事故が起こったとき,日本では管理会社や行政などが非難されるでしょうし(お上に依存しすぎ),中国では上部からの指令があったのだと思います(上部からの命令は絶対)。なお,鉄道や高速道路も日食中は不測の事態に備えて一時停止したらしいです。

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ちょうど天然の日食グラスのように薄い雲があるおかげで欠けていく太陽をシロウトのデジカメでも直接撮影できました。部分日食が観測できた東京でも同じような状況であったと聞いています。

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皆既日食前5分くらい前。太陽は細い三日月状になっています。それでも地上の明るさはかなりのものです。しかし1分くらい前から急速に夕方のようになっていき,また鳥の鳴き声なども静かになって,この世の終わりのような様相を呈してきます。そして最後の数秒で太陽の光は夕日のような色になり,それがすっと消え,皆既日食に突入します。

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皆既日食中の風景(6つくらい上の写真と撮影場所はほぼ同じ)。夜と違って街灯がつかないので真っ暗になります。「昼間なのに空が急に暗くなった!だれかがドラゴンボールを使ったんだ!」というセリフをいう余裕もないほどに神々しく,また興奮した時間が過ぎていきます。

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皆既日食中の太陽。撮影はとても難しいのではっきりとは撮れていませんが,薄い雲越しにコロナだけが見える「黒い太陽」を見ることができました。太陽の視直径は結構小さいので,新聞などで見るようなサイズでとるにはかなりのズームが必要ではないでしょうか。今回我々は1回目の初心者なので撮影は熟練の日食ハンターの皆さんにおまかせです。

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そして5分55秒の皆既日食は1秒の狂いもなく定刻どおり終了し,部分日食となりましたが,太陽は厚い雲の中に隠れてしまい,その日一日もう出てきませんでした。

その後情報を調べると,我々の観測点に近い上海・蘇州・嘉興などでは雨などのため皆既日食は見れなかったようで,杭州では我々のいたところよりやや良い観測条件だったようです。結局事前の予報は参考情報であって土壇場では運次第ということになります。また日本のトカラ列島なども土砂降りの雨で見れずということで,どちらかといえば運がいいほうだったと思います。しかも皆既日食にあわせて雲が切れるという劇的さ。1回目の経験としてはまずまずだったのでは,と総括できます。

今後も比較的行きやすい場所で起こるときにいきたいと思います。今は一人身で仕事的にも簡単にいけるという好条件もあるのですが。なお次回は2010年夏にイースター島などで皆既日食が起こりますよ。

投稿者 tisobe : 2009年07月26日 00:06

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